北緯1度の暮らし

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ハラリが懸念するポスト・コロナの世界(CNNインタビュー)

ユヴァル・ノア・ハラリは、言わずと知れた世界的ベストセラー「サピエンス全史」を著したイスラエルの歴史学者である。あるユーチューバーの動画でこの本と著者であるハラリを知ったが、本を紹介しそれを要約しわかりやすく説明しているそのユーチューバーによると、非常に難解で消化するのが難しいとのことだった。中田敦彦のエクストリーム世界史では、とてもわかりやすく解説されているので視聴をお勧めしたい。

https://youtu.be/fud4-L2lnqQ

今回は、ユヴァル・ノア・ハラリのCNNインタビューを見て感銘を受けたので、自分のための備忘録としてまとめておく。

https://youtu.be/lnOpVuO_FjE

COVID-19によるパンデミックに襲われた人類と社会を俯瞰していて非常に興味深い。ちなみにこの動画がアップされたのは2020年4月22日で、日本では4月16日に全国を対象とした緊急事態宣言が発出されている。

〜ユヴァル・ノア・ハラリのCNNインタビューまとめ〜

【歴史から見たCOVIDー19】

前回のパンデミックが約100年前なので、今、生きている人にとっては未曾有の出来事。だがもっと歴史を遡れば、例えば14世紀に流行したペストでは、原因も対処方法もわからないまま10年間にわたりアジアからヨーロッパの4分の1から2分の1の人口が失われた。今回のCOVID-19 は、2週間で病気の正体が解明され検査方法も開発された。歴史上のどの時よりも、今はウイルスを克服できる良い状況にある。

【現代に生きる市民としての懸念】

最悪の事態は、国家間、そして国民と政府の間の分断である。これは今に始まったことではなく、例えばフェイクニュースや国際関係の悪化など、ここ数年間に行ってきたことの当然の帰結である。具体的には、トランプ政権が自国優先主義に走り、国際協調や世界におけるリーダーシップを放棄したことだ。トランプ政権以前の米国は、世界的な経済危機や海外で流行した伝染病の克服にリーダーシップを発揮して結果を出してきた。

【喫緊の課題】

世界が今この時にパンデミックを抑えなければウイルスは進化し、最悪の結果をもたらすだろう。例えばエボラ出血熱は、西アフリカの1人から、ウイルスの一度の遺伝子の突然変異により、エボラを稀な病気から抑えられない伝染病に変えた。一度の突然変異はウイルスの感染率を4倍増加させる。(COVID-19の変異種については2020年12月23日英保健省により初めて発表された。)

【ポストコロナ時代の懸念】

極端な監視システムを正当化できることは問題である。今は非常事態なので正当化できても、非常事態が過ぎた後も将来の感染病を防ぐために監視システムは残るだろう。一方で、極端な全体主義体制の基盤を作ることもできる。プライバシーか健康かのどちらを優先するかという大きな選択肢があるが、おそらくは健康が優先され、伝染病から健康を守るという大義の下、プライバシーの無い世界がやってくるだろう。

方法は2つある。

1.全員が情報を共有し、その情報を信頼する。

2.全体主義体制を敷く。すべての人々を監視することは今の技術で可能である。体内に何かを埋め込むことなくリモートで、体温、濃厚接触者、規則を順守しているかどうかすべてわかる。専門家の説明を聞かなくても、ガイドラインに従わなくても、強力な監視体制によって強制することができる。これは危険な道だ。そちらの方向に進まないことを願う。