北緯1度の暮らし

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日経電子版 犬の車椅子を手作り販売 8年間で3千台 2021・6・14

動画の掲載期間が短いと思われるのでリンクの貼り付けは省略するが、感銘を受けたので今の気持ちを自分の備忘録としてまとめておく。

【動画の概要】

大阪市の川西さんご夫婦(夫の英治さん61歳・妻の仁美さん55歳)は、犬用の車椅子を販売している。犬の大きさ、性格、症状に合わせたピッタリの車椅子を夫の英治さんが手作りで製作している。販売価格は一台2万円前後。頑丈で、装着しやすいシンプルな構造にしている。

10年前に愛犬のための車椅子をDIYしたのがきっかけだった。はじめは市販の車椅子を探したが、いいなと思ったものは30万円と、当時とても手が出なかった。手作りに挑戦したら結局コストは30万円かかったが、試行錯誤を繰り返し何度も失敗しながら2ヶ月かけて完成した。出来上がった車椅子で犬が歩けた時は嬉しくて大号泣。「こんな嬉しい気持ちを私一人だけにしとくのもったいないと思ったから」工房を立ち上げた。事業を興すからには、猛勉強して小動物介護士などいくつも資格を取得した。

「飼い主さんの気持ちを自分が経験してるだけによくわかるから、私はその飼い主さんの笑顔を見ることが一番嬉しい」と妻の仁美さんは言う。

 

私はこの動画を見て、以下のことなどを考えた。

1. ポチればなんでも買える時代にあえて手作りすることの意義

私は手芸をばかにしていた時期もあったが、新型コロナが流行して職場に出勤できなかった時に布マスクを縫ったり、母が着なくなったなった昭和の服を修繕して再利用したりもしている。あの両学長も高校生の時に高価なパソコンを親に買ってもらえず、部品を買って自分で組み立てたと言っている。川西さんご夫妻も、商業化を視野に入れて作り始めたわけではなかっただろう。ポチれば何でも簡単に手に入る時代に「自分で手を動かしてみる」ことで何かが開けることもあるのではないだろうか。

2. 自分が得意なことで人も喜んでもらえるやりがいのある仕事

収入を得ることはもちろん最も重要なことではあるが、収入を得るためだけに嫌々働くのは本当に辛い。川西さんは、自分自身が経験したことだからこそ客の気持ちに心から寄り添える。自分にしかできないこと。どこででも買えるものではなく、客にとって川西さんは特別の存在になる。

3. 自分の成長につながる

趣味ではなく、代金を頂戴するからにはプロ意識を持って勉強されている。昭和の時代であれば定年退職して引退する年齢でも、何歳になっても成長し続けるのは生きがいにつながるのではないか。

4. 最後に、この動画には描かれていなかった部分で私が感じたことであるが、このビジネスをここだけで終わらせてしまうのはもったいないと思った。後継者を育成して事業展開できれば雇用の機会も創出できるし、消費者の選択も広がり社会のためにもなると思う。

 

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今日の夕焼け

 

データサイエンスとヴィパッサナー瞑想の共通点

日本経済新聞の映像シリーズに「NIKKEIマネーの学び(教えて高井さん)」というコーナーがある。日経の経済記者が経済用語をわかりやすく説明するという主旨なのだが、本当にわかりやすくて毎回視聴している。先日、YouTubeライブのダイジェスト版がアップされていたのだが、そこにゲスト出演されていたデータサイエンティストの松本健太郎氏のお話がとても興味深かったので、自分のための忘備録としてまとめておく。

そもそも私は、データサイエンスという言葉の意味も知らなかったし、興味も関心もなかった。ただ毎週このコーナーを視聴しているので、惰性で耳を傾けていただけなのだが、思いがけず松本氏のシンプルな言葉が刺さってしまった。というか、シンプルだったから、驚いた。「データサイエンス」という領域は、今の私にはまだ縁遠い存在だと思っていたにもかかわらず、松本氏の言葉はすべての領域に通ずる普遍的なものだと感じられたのだ。

https://youtu.be/cXdqQUYZugo

〜日経まねび データ時代の経済を読む ダイジェスト版より〜

(印象に惑わされずファクトを見極めるために)身につけるべきスキル

1. 最も必要なのは洞察力

要は気づくことがすべて。そこにあるものを「ある」と認識できるようになることが最も重要。

2. データを「読める」人になろう

データが数字で示されていたとしても、データの読解力は国語力。つまり、数字の背景を読み解く意味解釈の世界。例えば気温20℃といっても、夏場の20℃と冬場の20℃では意味合いが全然違う。データの持つ意味を考えることがものすごく重要。

3. リベラルアーツを学ぼう

究極的には、数学と国語、つまり、読み書き算盤を勉強すること。

<視聴者からの質問1>

データを見るポイントは? →生のデータか加工されたデータかという点にはものすごく注目している。

<視聴者からの質問2>

データを収集する際に気をつけるポイントは? →ひとつの事象に対してひとつのソースに頼らず、幅広くデータを収集する。そのデータが間違っていることもあるし、別の観点から見たデータもあるので、できるだけ多角的にテータを収集している。

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以上が、この動画で私が覚えておきたいと思った内容である。

私が驚いたのは、上記1. 2. 3.のどれもがとてもシンプルで、なにも「データサイエンス」に限った話ではなく、生きていく上で重要という点で普遍的なことなのではないかと感じたからだ。「読み書き算盤」なんてことは、データサイエンスを語る以前に万人にとって最低限身につけるべきスキルではないのか。

「最も必要なのは洞察力」という点では、ヴィパッサナー瞑想と共通していると思い驚いた。

ヴィパッサナー瞑想といえば、ユヴァル・ノア・ハラリ氏が毎日2時間行っていると公言しているので、私もネットで少し勉強しながら時々トライしているのだが、「物事をあるがままに観察する“気づき“の瞑想」と私は理解している。

ハラリ先生は「たとえあらゆるデータが正確で信頼できるとしても、私たちは『何を重要視すべきか。何が重要かを誰が決めるのか。様々なデータの数値をどう相互に評価するのか』を常に問うべきだ。(日本経済新聞2021年3月4日)」とおっしゃっている。これって松本氏が言ってることとと同じではないのか。

データサイエンスとヴィパッサナー瞑想に共通点を見いだしたことを、ここに記しておきたい。

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ある日の夕焼け


 

ユヴァル・ノア・ハラリとお釈迦さま

ユヴァル・ノア・ハラリといえば、「サピエンス全史」、「ホモ・デウス」、「21世紀の人類のための21の思考」を著し、それらが次々と世界的ベストセラーとなった大先生であることは言うまでもないが、いろんな本の内容をわかりやすく要約するユーチューバーが「非常に難解」とコメントしていたため、著作に挑戦しようという気が起きず未購入のままとなっている。しかし、本人が出演するインタビュー動画を視聴して以来、YouTubeに勧められるまま次々とハラリ先生の出演している動画を視聴するうち、すっかりハマってしまった。

カンペも読まずによくあんな長時間しゃべり続けられるなと初めは驚嘆したが、動画を数々視聴するうち、当たり前なのだが主張が一貫していることに気がついた。常日頃、頭で考えていることを主張しているだけだから、台本がなくても長時間しゃべり続けられるのは当然のことなのだ。

さて、ハラリ先生はヴィパッサナー瞑想を実行し推奨しているため、瞑想を習慣にしていない人の中にはうさん臭いスピリチュアル系かと誤解する人がいるかもしれないが、彼の主張は一貫して現実主義である。ヴィパッサナー瞑想のやり方については検索に上がった別の動画でおさらいしたが、とにかく主観や想像を排し、今、現実に起こっていることだけを客観的に意識的に認識するのである。

ハラリ先生が出演している動画を視聴するうち、私にはハラリ先生が現代のブッダに思えてならない。ブッダの教え、つまり仏教は、本来は宗教ではなく、悩みや苦しみから解き放たれて楽に生きるための人生の智慧であったはずだ。ハラリ先生は、知的好奇心にまかせて歴史をモーレツに勉強しまくった結果に悟ったことを本に著しただけだ。人に影響を与えようとか、まして著名人になりたいなどとは思っていなかったろう。超人的に歴史を学んだ結果、当然の帰結として、現代社会や近未来の問題が自然に見えただけなのだろう。

尚、ハラリ先生の本の内容については、前回も紹介した中田敦彦の動画などが参考になる。

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新加坡佛牙寺龍牙院

 

ハラリが懸念するポスト・コロナの世界(CNNインタビュー)

ユヴァル・ノア・ハラリは、言わずと知れた世界的ベストセラー「サピエンス全史」を著したイスラエルの歴史学者である。あるユーチューバーの動画でこの本と著者であるハラリを知ったが、本を紹介しそれを要約しわかりやすく説明しているそのユーチューバーによると、非常に難解で消化するのが難しいとのことだった。中田敦彦のエクストリーム世界史では、とてもわかりやすく解説されているので視聴をお勧めしたい。

https://youtu.be/fud4-L2lnqQ

今回は、ユヴァル・ノア・ハラリのCNNインタビューを見て感銘を受けたので、自分のための備忘録としてまとめておく。

https://youtu.be/lnOpVuO_FjE

COVID-19によるパンデミックに襲われた人類と社会を俯瞰していて非常に興味深い。ちなみにこの動画がアップされたのは2020年4月22日で、日本では4月16日に全国を対象とした緊急事態宣言が発出されている。

〜ユヴァル・ノア・ハラリのCNNインタビューまとめ〜

【歴史から見たCOVIDー19】

前回のパンデミックが約100年前なので、今、生きている人にとっては未曾有の出来事。だがもっと歴史を遡れば、例えば14世紀に流行したペストでは、原因も対処方法もわからないまま10年間にわたりアジアからヨーロッパの4分の1から2分の1の人口が失われた。今回のCOVID-19 は、2週間で病気の正体が解明され検査方法も開発された。歴史上のどの時よりも、今はウイルスを克服できる良い状況にある。

【現代に生きる市民としての懸念】

最悪の事態は、国家間、そして国民と政府の間の分断である。これは今に始まったことではなく、例えばフェイクニュースや国際関係の悪化など、ここ数年間に行ってきたことの当然の帰結である。具体的には、トランプ政権が自国優先主義に走り、国際協調や世界におけるリーダーシップを放棄したことだ。トランプ政権以前の米国は、世界的な経済危機や海外で流行した伝染病の克服にリーダーシップを発揮して結果を出してきた。

【喫緊の課題】

世界が今この時にパンデミックを抑えなければウイルスは進化し、最悪の結果をもたらすだろう。例えばエボラ出血熱は、西アフリカの1人から、ウイルスの一度の遺伝子の突然変異により、エボラを稀な病気から抑えられない伝染病に変えた。一度の突然変異はウイルスの感染率を4倍増加させる。(COVID-19の変異種については2020年12月23日英保健省により初めて発表された。)

【ポストコロナ時代の懸念】

極端な監視システムを正当化できることは問題である。今は非常事態なので正当化できても、非常事態が過ぎた後も将来の感染病を防ぐために監視システムは残るだろう。一方で、極端な全体主義体制の基盤を作ることもできる。プライバシーか健康かのどちらを優先するかという大きな選択肢があるが、おそらくは健康が優先され、伝染病から健康を守るという大義の下、プライバシーの無い世界がやってくるだろう。

方法は2つある。

1.全員が情報を共有し、その情報を信頼する。

2.全体主義体制を敷く。すべての人々を監視することは今の技術で可能である。体内に何かを埋め込むことなくリモートで、体温、濃厚接触者、規則を順守しているかどうかすべてわかる。専門家の説明を聞かなくても、ガイドラインに従わなくても、強力な監視体制によって強制することができる。これは危険な道だ。そちらの方向に進まないことを願う。

 

ゴーギャンとスティーブ・ジョブズ

貧乏性なので、お金を出して買ったものをなかなか断捨離できない。本も然りで、古い本を忘れた頃に読み返しては捨てずにまた本棚に戻すを繰り返している。さらに読解力が低いため、内容が記憶に残らずまた読み返すを繰り返している。我ながら生産性が低すぎて嫌になるが、2回目、3回目と繰り返して読む度に、新しい気づきがあるのもまた事実なのである。

最近は、サマセット・モームの「月と六ペンス」と、ウォルター・アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」を読み返している。「月と六ペンス」の主人公をゴーギャンとするなら、ゴーギャンとジョブズはよく似ていると思う。イトウエルマのブログを読んでゴーギャンが境界知能者だったのではないだろうかと考えたことは前回書いた。そしてスティーブ・ジョブズもそうなのかもしれないと思う。「スティーブ・ジョブズ」は小説ではなく本人のインタビューと取材に基づく伝記なので、詳しくは本を読んでいただければと思うが、ジョブズもかなりの変わり者だ。ゴーギャンとジョブズは活躍した時代や得意分野は全く異なるが、どちらも天才であり非常に魅力的な人物である。しかし一方で、他人の目を頓着しなかったり、人を傷つけたり不快にすることもよくやる。もしも自分が何らかの形で彼らに接するような間柄になったとしたら、おそらく両方嫌いなタイプである。

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ある日の雲

 

ゴーギャンとイトウエルマ

前々回からイトウエルマが続いている。才能のわりに露出が少ないのがファンとして不満だが、ブログが毎回おもしろくて愛読している。イラストはもちろん、読書感想文が秀逸である。

「ケーキの切れない非行少年たち」を読んで自分を振り返る | イラストで綴る日常

「ケーキの切れない非行少年たち」の著者は、社会には普通の人が普通にできることができない人(境界知能者)が一定数いて、非行に走る少年たちはそもそも普通の人とはモノを見ている視点が違うのではないか、(歪んでいるのではないか)と言っているらしい。そしてイトウエルマは、普通の人にない独自の視点というところからすると、大変な長所になるだろうにな、と書いている。

ところで、サマセット・モームの「月と六ペンス」が部屋にあったのを発見し、もうボロボロなので捨てる前にもう一度読み返している。ご承知のとおり画家のゴーギャンがモチーフとなっているモームの代表作であるが、あくまでフィクションであり、物語は実際のゴーギャンの人生とは異なる。ただゴーギャンが相当な変わり者だったということは本当らしい。証券取引所の株式仲買人の職を得て実業家として成功しながら、仕事も家族も捨て、画家として生くるべく浮世離れした人生を全うしたのである。

さてイトウエルマのブログを読んで、私はゴーギャンが境界知能者だったのではないだろうかと考えた。つまり、世間一般の常識に倣った生活への適応力がなく、普通の人にない独自の視点があったということだ。そういえばブッダ(お釈迦さま)も、地位や妻子を捨てて浮世から離れた人生を全うした人だった。後世に名を残すほどのこれらの大人物は、独自の視点があった一方で社会に適応できない境界知能者だったのではないだろうか。

そしてイトウエルマは「果たして私も境界知能者ではないのか」という疑惑を抱く。境界知能者の特徴に当てはまる項目がいくつもあり、会社員時代に苦労していたのだという。

かく言う自分はどうだろうか。私はまだ、自分の居場所を探し続けている。

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イトウエルマへのファンレター

イトウエルマのことを前回書いた。私は彼女のマンガを愛している。何と言ってもイラストが素敵だ。ブログもとてもおもしろい。読書感想文は控えめに言っても秀逸だ。

これってなんだかファンレターみたいだな。そうだこれはファンレターだ。

イトウエルマには間違いなく才能がある。と私は思っている。なのに、なぜなのだ。いくら検索しても著書が一冊しかヒットしない。

立ちそばガール! そば このファストで奥深い世界 | イトウ エルマ |本 | 通販 | Amazon

 実は、私はこの本にはあまり興味がない。蕎麦に特別な思い入れもなければ東京に住んだこともないからだ。私はシンガポールに住んでいる。蕎麦を食べ歩くために東京に行くことは今後ともないだろう。他に著書はないのか⁉︎

しかもこの「立ちそばガール」は2014年に出版されたとある。かれこれ6年以上も経っているではないか。そろそろ情報も古くなっているのではないのか。なのに毎週更新されるブログでいまだ必ずこの本を宣伝している。

ファンとして、彼女に伝えたいことがある。もういいかげんに次に行ってほしい。あなたには才能があるのだから。蕎麦だけでなく、もっと広くその才能を活かしてほしい。どうかこのVoicyを聞いて、そのことに気づいてほしい。

(2020年10月26日放送)2010/10/26 #031 新分野の開拓/ Voicy - 今日を彩るボイスメディア

 

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Millenia Walk